WEBSITE RENEWAL / 制作手法02:カスタマージャーニー
社内検討用のメモ。ペルソナ分析の続きで、作った2人を時間軸に展開する。 01でジャーニーを作る理由、02でフェーズの切り分け方、03・04で当案件のマップ2本、05でどこが勝負どころかの読み取り、06で設計への落とし込みを並べている。 本文がジャーニーという手法の説明、オリーブの囲みが当案件への適用。
このジャーニーは想定である。前提となるペルソナ2人が想定であり(実ユーザー調査・ヒアリング・アクセス解析は未取得)、 行動・感情・不安度・期待度はいずれも公開情報と競合4社の実読からの推定。星の数は層の相対的な力の入れどころを示す目安であって、実測スコアではない。
関連資料:ペルソナ分析_釣りギアブランド.html(前工程)/ペルソナ_ジャーニー_釣りギアブランド.md(元データ)/競合分析_釣りギアブランド.md/要件定義書_釣りギアブランド.md(本資料の落とし込みが④機能要件・⑥UI/UX要件に入っている)
01 WHY JOURNEY MAP
ペルソナを時間軸に置き直し、来訪から購入までの流れを1枚にする。導線を最適化して、目的達成の精度を上げるための道具。
無い場合ページは良いのに、流れが弱い
結果、部分最適の集合になる。ページ改善を続けても数字が動かない典型。
有る場合力の入れどころが決まる
CV率が変わるレベルで効く。特に「どのフェーズに一番コストをかけるか」の合意形成に使える。
CASE 当案件のストーリー設計
ベリーベリー案件は「迷っている親」が来るため、設計すべきは迷い → 安心 → 決断のストーリーだった。
釣りギアブランドは違う。ペルソナAはすでに共感していて、買う気もある。設計すべきは共感 → 納得 → 買い逃さないのストーリーであり、必要なのは説得ではなく到達(気づける・すぐ買える)。 同じ「不安を解消する」でも、中身が「この店で大丈夫か」ではなく「今回も買い逃すのでは」になっている点が当案件の特徴。
02 HOW TO SLICE
ビジネスモデルに応じて、入口から出口までを数段階に切る。段数は多くしすぎない(4段前後が扱いやすい)。切ったら各段で同じ6項目を埋める。
その段で実際に何をするか。クリック・スクロール・検索などの動作で書く。
頭の中の独り言。ここが本人の言葉になっていないと、コピーに使えない。
2つを分けて見る。両方が同時に高い段が、勝負どころ(気持ちが最も揺れる場所)。
その段でユーザーが触れる面と、そこに置くべき施策。ここがそのままワイヤーの材料になる。
レジャー施設のように「検索して比較し、1回予約したら終わり」のモデルは一方向の直線(認知 → 興味 → 検討 → 行動)。 一方、ブランドのファンが何度も戻ってくるモデルは循環(ループ)になり、起点が「検索」ではなく「習慣的な再訪」になる。型を間違えると、実在しない入口を前提に設計してしまう。
CASE 当案件は型の違う2本を引く
ペルソナA=循環型(再訪 → 発見 → 納得 → 行動 → また再訪)。検索から始まらない。ブログ・SNS・YouTubeから習慣的に戻ってくる。
ペルソナB=直線型(認知 → 学び → 検討 → 行動)。釣法名の検索から入り、ブランド名を知らない状態でスタートする。
同じ4段でも中身が別物なので、1本にまとめない。まとめると「検索から来る前提」でAの設計をしてしまい、最大の課題(気づけない)が見えなくなる。
03 JOURNEY MAP A
藤本 剛/47歳/釣り歴25年。売上の主柱。最重要フェーズは④ 行動(予約・購入)。
循環型(再訪から始まる)
検索を経由せず、ブログ・SNS・YouTubeから習慣的に戻ってくる
※ 画面が狭いときは、表を横にスクロールできる。
| 項目 | PHASE 01① 再訪(習慣) | PHASE 02② 発見(新作・お知らせ) | PHASE 03③ 納得(開発ストーリー) | PHASE 04④ 行動(予約・購入)最重要 |
|---|---|---|---|---|
| ユーザーの行動 | ブログ・SNS経由で定期的に来訪する | 新作・予約開始情報を見つける | 開発背景・スペックを読む | 予約・購入・通知登録をする |
| 思考・感情 | 「なにか動きあるかな」 | 「来た。いつから?」 | 「なるほど、そういう狙いか」 | 「買い逃したくない」 「早く、確実に」 |
| 不安度 | ★☆☆☆☆ | ★★★☆☆見逃し不安 | ★☆☆☆☆ | ★★★★★完売・操作の不安 |
| 期待度 | ★★★☆☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★★ |
| 主な接点 | トップの更新情報・ブログ | 新着/予約セクション・通知 | 商品ページの開発ストーリー | EC・通知登録フォーム |
| 必要なWeb施策 | 更新情報をトップに集約する(分散の解消) | 予約・入荷カレンダー/LINE・メールの通知登録 | 商品ページに思想・開発経緯を統合する | スマホで数タップの購入動線・ゲスト購入 |
補強した事実:公式サイトの小売店向けページに「大手メーカー品に比べ入手しにくいものや少量生産のものが多く」「完売してしまうこともございます」と明記されている。②の見逃し不安と④の完売不安は、想像上のものではなく、ブランド自身が公開している販売実態に基づく。
①の接点に関する補足:販売の窓口は直営店を持たない代わりに、イベント出展・オンラインショップ・小売店/問屋への卸取引の3つ。よって①の再訪フェーズにはイベント告知も接点として乗る(トップに直近イベントを1件出す根拠)。「オンライン限定」ではない点に注意。
04 JOURNEY MAP B
中村 悠人/29歳/釣り歴3年。将来の裾野。最重要フェーズは② 学び(釣法解説)。
直線型(釣法名の検索から始まる)
ブランド名を知らない状態で流入し、人と道具への信頼を積み上げていく
※ 画面が狭いときは、表を横にスクロールできる。
| 項目 | PHASE 01① 認知(釣法検索) | PHASE 02② 学び(釣法解説)最重要 | PHASE 03③ 検討(人と道具への信頼) | PHASE 04④ 行動(最初の1本) |
|---|---|---|---|---|
| ユーザーの行動 | 「フロートリグ」等で検索・流入する | 釣法ハブページを読み込む | プロフィール・実績・FAQを見る | 推奨タックルを購入する |
| 思考・感情 | 「どういう仕掛け?」 | 「わかりやすい。この人すごい」 | 「信頼できる人だ。でも自分に使える?」 | 「これから始めればいいのね」 |
| 不安度 | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★★★オーバースペック懸念・EC不安 | ★★★☆☆ |
| 期待度 | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
| 主な接点 | 検索結果(釣法名) | 釣法解説ハブ(新設) | PROFILE・メディア実績・FAQ | 「この釣法の道具」導線・入門セット |
| 必要なWeb施策 | 釣法名で上位を取るSEO設計 | 体系化された解説+動画の埋め込み | 実績の引き上げ表示・購入FAQ・保証の明記 | 「最初の1本」ガイド・ゲスト購入 |
③で使える実績(引き上げ表示の中身):2004年からの継続ブランドであること、フィールドテスターとしてタックルハウス・サンライン・オーナーばり・SUBROCが関わっていること。無名の個人ブランドではないと数秒で伝わる材料になる。ブランドの自己定義「釣り人・代表の方栄の釣り」も、③の「開発者が信頼できる人か」に直接応える。
③の接点に足すもの:取扱店・卸情報のページ(現行あり)。実物を触ってから買いたいBには、店頭で確認できる選択肢の提示が「個人ブランドECの不安」の緩和材になる。競合4社も取扱店一覧を標準装備している。
④の設計注意:Bの離脱要因に「会員登録を先に要求される」がある。現行はWelcartの会員制ECのため、ゲスト購入の可否は技術検討が要る(要件定義④の推奨機能に記載済み)。
05 WHAT IT TELLS
注目するのは感情の起伏が大きいフェーズ。ただし「症状が出るフェーズ」と「原因があるフェーズ」は別のことがある。両方を分けて見る。
不安度★5と期待度★5が重なるのは④ 行動。ここが最も気持ちの揺れる場所で、操作の面倒さがそのまま離脱になる。
ただし「買い逃し」の原因は④ではなく② 発見にある。予約開始に気づけていれば④は迷いなく通過する層だから。 ④の改善(購入UIの最適化)だけを頑張っても、②で気づけていない人は そもそも④に来ない。
よって投資の優先順位は ② 発見(通知・更新情報の集約)→ ④ 行動(購入導線) の順。これが「通知登録を第2のCVにする」という判断の根拠。
不安度のピークは③ 検討(オーバースペック懸念・個人ブランドECへの不安)。ここで止まると購入まで行かない。
ただし③を突破できるかは② 学びで決まる。解説を読んで「この人から学びたい」と思えていれば、③の不安は実績とFAQで解ける。②が薄いまま③に来た人は、何を並べても信じない。
よって②に新設コンテンツ(釣法解説ハブ)を作ることが最大の投資で、③は既存資産(実績・メディア掲載・テスター)の見せ場所を変えるだけで対応できる。
FINDING 2本に共通する根本原因
A の「お知らせが分散して追いきれない」と、B の「解説が商品ページに分断されて体系的に読めない」は、どちらも同じ原因=情報が置き場所ごとにバラけていること。 ページを個別に改善する話ではなく、集約する面を新しく作る(更新情報ハブ・釣法解説ハブ)という判断につながる。ジャーニーを2本並べたことで見えた共通項。
06 INTO DESIGN
読み取った内容を、そのままワイヤーフレームで置ける形にする。各項目に「どのフェーズに効くか」を紐づけておくと、後工程で理由を再確認できる。
01
購入より手前に、軽いCVを作る。予約開始・再入荷を待つ層が「気づけない」まま離れるのを止める。
効くフェーズ:A ② 発見 / A ④ 行動
02
AとBの両方が、開いて数秒で自分の入口を見つけられる並びにする。製品カテゴリの羅列を先頭に置かない。
効くフェーズ:A ① 再訪 / B ① 認知
03
Bの最重要フェーズを受ける面が現状は無い(ブログ記事に時系列で埋もれている)。新設コンテンツとして独立させ、ルアーの魚種別カテゴリと相互リンクする。
効くフェーズ:B ② 学び / B ④ 行動
04
Aの納得(③)とBの信頼(③)を、同じページの同じ構成で満たす。ページを2種類作らずに済む。
効くフェーズ:A ③ 納得 / B ③ 検討
05
競合INX.labelが製品保証・製品登録の専用ページで実証済みの信頼設計。Bの「個人ブランドECで買って大丈夫か」に正面から答える。返品は特定商取引法に基づく表示のページへリンクする。
効くフェーズ:B ③ 検討 / B ④ 行動
トップページの並び順(落とし込み02の具体形)
CONCLUSION
「代表の方栄の思想に、確実にアクセスできて、確実に買えるサイト」を目指せば成果が出る、という仮説。
この結論を根拠に要件定義とワイヤーフレームを作成し、情報設計に落とす。仮説である以上、公開後はアクセス解析と通知登録数で検証し、外れていれば構成を組み直す。
07 SUMMARY
Aは循環型、Bは直線型。型が違うため1本にまとめない。まとめると、検索から来ない層の課題が消える。
Aの症状は④だが原因は②。改善投資は原因側から。ジャーニーを引かないとこの区別ができない。
A・Bの課題はどちらも情報の分散。個別ページ改善ではなく、集約する面を2つ新設する判断につながった。
落とし込み5点とトップの並び順が、そのままワイヤーフレームの入力になる。各ブロックには根拠フェーズが紐づいている。
未検証・本番案件なら確認したい3点
1. 通知の実効性:LINEとメールのどちらが登録されるか、通知から購入までの到達率はどれくらいか。第2のCVの前提が崩れると落とし込み01の投資判断が変わる。
2. Bの流入規模:釣法名検索の実ボリュームと現状の流入数。少なければ、釣法解説ハブは新規獲得ではなく既存ファン向けの読み物として位置づけを変える。
3. 離脱の実データ:現サイトのどのページで離れているか(アクセス解析・カート放棄率)。本資料の不安度・期待度はすべて推定のため、実データで補正したい。